書評

[書評]ゲノム編集からはじまる新世界 小林雅一(著)

 突然ゲノム編集に興味が湧き、図書館から何冊かの関連本を借りてきました。その中から分かり易く面白かった「ゲノム編集からはじまる新世界」小林雅一(著)を紹介。

 この本の内容はザックリ言うとゲノム編集の革新的技術「クリスパー」がどんな技術で人類にどのような影響を与えることが予測されるかが書かれた本です。文体は平易で理解しやすく、文系の人間の私でも3時間ほどで読み切ることが出来ました。内容も充実しておりクリスパーの解説、特許係争、食卓への影響、医療への影響に付いて解説されています。個人的に興味深かった箇所を紹介します。

「クリスパーが私たち人類を含む、ありとあらゆる動植物の設計図を自由自在に書き換えることができる」(本書,P23,3行目)

「クリスパーは(省略)たとえ高校生でも(省略)専門家の下でトレーニングすれば、すぐに使えるようになる」(本書,P33,6行目)

 私がゲノム編集に興味を持った理由は上記の文章の通り、これまで無縁だと考えていた技術が急に身近な存在になったからです。大学や企業の研究室といった大掛かりな設備が必要だったゲノム編集は、新技術クリスパーによって誰でも行えるようになったことは衝撃でした。本書によるとアメリカではゲノム編集のキットが2~3万円程で販売されているそうです。日本でも何社かゲノム編集キットを販売しているようです。(素人には何がなんだか分かりませんが・・・) 参考リンク

「放射線育種の研究開発が盛んに行われたのは、1950年代のインドや中国(省略)など、いわゆる「開発途上国」と呼ばれる国々でした。(本書,P108,6行目)

 遺伝子組み替え食品が消費者の強い反感を買った事実と比較して、放射線を用いた品種改良が是認された理由を説明した一文。豊富な食料が存在する場合は消費者は得体の知れない遺伝子組み替え食品を拒否するが、食料の調達が困難である場合は増産、高い耐性の実現を優先した。つまりは新技術への消費者の評価は科学的な安全証明よりも消費者のおかれた環境に依存しているのです。自分も内容を十分に理解しないままにイメージで物事を評価することがあるので要反省です。

 以上のような内容の他にも20億円以上の費用が投じられているクリスパーの特許論争や遺伝子組み換え技術の歴史、デザイナーベイビー問題などが取り上げられています。ゲノム編集に興味がある人は読んでみて下さい。

朝日出版社にて刊行されています。販売元のリンク

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